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風の谷〜泰阜村 
「病院での最後・・・」

「癌の看取りを施設で終わらせるのは忍びない」と、今月97歳の誕生日を迎えるというMさんのご兄弟が言い出したということで、内服用の麻薬鎮痛剤が終わったので受診したところにお嫁さんがやってきた。

 前日まで自分の足で歩行器でトイレに行き、昼食までは食堂に出て自分で普通食を食べていた。お茶の時間にも皆と頂いた柿を美味しそうに食べていた。出血は続いていたけれど、血液検査結果では貧血はあるけれど栄養状態も落ちてはいない、心臓機能、肺の機能も落ち着いていると告げられた。

 しかし家族は上述の理由で入院を強く望んだ。医師は確認のため施設長の私の顔を見た。私は「このような場合は、ご家族のご希望が優先します。どうぞご家族の判断にお任せします。私はそれに従います」と告げた。

 医師も「延命治療を望まない」と言われていたご本人の意思を確認していたはずであっが、ご家族の顔を向き今後の治療方針を告げていった。「失血の量を把握するためバルーンカテーテル挿入、失血に対し輸血を、尿路感染には点滴治療を実施します」と。体中を様々な管につながれて逝くことになった。

 

 「これらの治療は本人のためかなのだろうか?」「どうしてこんなことになるのだろうか?」

昨晩は、ベッドのそばで「おじいさんはどこに行ったね」「おじいさんはね、先にあの世に逝かれたんだよ。Mさんのお席を準備しておられるからお迎えが来るまで一緒に待っていましょうね。いつも私たちがお傍にいるから大丈夫!」と言っていたっけ。

 私たちは朝も昼もいつも見守り、痛くないように、不快でないようにと心がけていたっけ・・・。私たちはMさんを愛し、大切に思っていた。誰も口にはださないけれど、空っぽのお部屋の前を通り過ぎるとき胸が痛んでたまらないことを、せめてMさんへの贈り物にしたい。

 

 

コメント

私も読んでいてつらい気持ちでいっぱいになりました。ーーー 「癌の看取りを施設で終わらせるのは忍びない」ーーーという親族の気持ちを推し量ることは私にはできません。

 Mさんにとって何より大切なのは安心感。いつものように日常が続いていく安らぎ。悠々ではそれが可能でしたのに。悠々での暮らしぶりを親族の方がきちんと見ていなかったのですね。残された時間を病院で過ごすMさんを想像するとつらいです。

ーーー私たちは朝も昼もいつも見守り、痛くないように、不快でないようにと心がけていたっけ・・・。私たちはMさんを愛し、大切に思っていた。誰も口にはださないけれど、空っぽのお部屋の前を通り過ぎるとき胸が痛んでたまらないことを、せめてMさんへの贈り物にしたい。ーーー

 胸がいっぱいになります。
  • 加藤充子
  • 2017/11/06 11:35 AM
加藤さん 全力を注いでおりましたので、今、空の巣症候群状態です。
  • 本田玖美子
  • 2017/11/07 5:35 AM
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