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風の谷〜泰阜村   
    晩秋に思う・・・

 雪の便りが聞かれた。泰阜村ではあちこちの軒下にすだれ柿が吊るさせれている。冷たい北風の到来に錦秋の森に落ち葉が舞って、日増しに森が明るくなってきた。落葉樹の森に落ち葉の絨毯をサクサク踏んで、独り散歩するのがいい。

 11月26日の日曜日に、村長や村会議長等村の来賓をお迎えして、第11回通常総会を開催することになった。

この村に通うようになってもう40年になる。そしてこの村に「悠々」を作りたいと思い立ち、本格的に移住してからでも12年経つ。長いかな〜短かったような気もする。今回の総会は、来年には10年間の指定管理の区切りを迎えるということで、村にとっても我が役員やスタッフたちにとっても意味深いターニングポイントとなる。

 この9年間で視察者は北は北海道から南は沖縄まで、実に多くの方たちと交流できたように思う。その方たちが決まったように口にする言葉がある。「何故かわからないのだけれど、ここに居るとほっこりして体中がゆるむ気がする。帰りたくない気がする。」そう言って思い出したように民泊のリピーターになられる。

 当初それを目指したわけではない。しかしこの村で、この大自然に包まれた里山の奥深くに(近くのJRの田本駅は秘境である)、ひっそりと仲間たちと身を寄せ合って和やかな家族のような暮らしがしたいと望んだ結果、今の「悠々」が出来上がった。私の心がけたことはそれだけだった。

 この事業は、厚生労働省ではなく(これまでたくさんの補助金を事業を起こしては厚生労働省から頂いたけれど・・・)当初の大型の補助金は、日本の過疎山村に住む、経済発展から取り残された貧しい村の、それもまた時代の荒波に取り残されたお年寄り達と、身を寄せ合って、貧しいけれど幸せになれる暮らし方を実現したいと訴えて、その活動拠点としてのバリアフリーの建物を建ててくださいとお願いしたのだった。

 この12年間住民として部落の班長をやり(同時に5つの役を抱えることになるのだが・・・)、村の運動会でよろよろと走り、綱引きで優勝するまで力を入れて村の古参のお年寄りに笑われ、年に数回の道路愛護に汗をかいた。もう部落のお年寄り達とは、家族未満友達以上の関係である。そのように生きてきて、お金では買えない幸せを頂いた。

 TVの中で偉いお役人たちが「これからは地域の時代だ!」と叫んでいるようだが、地域の絆はお金では買えない。天から降ってくるものでもない。自分の村を守るために共に汗をかき、困ったときには飛んで行って「大丈夫か」と顔をのぞかせ、自分でできるほんの小さなことをする。それらの日々の暮らしの中で積み重ねた「思いやり」が、知らぬ間に地域の絆を育てていってくれたのかもしれない・・・と思う。

 そのお年寄りたちがご近所さんを誘って、月に1回の「地域リハビリ教室」に集まってくる。お母さん役の理事長の手料理が「おいしい!」と言ってみんなでほめ殺しにする。入居者たちも1ケ月に1回会えるご近所さんから最近の情報をゲットしているらしい。

 一番いいのは、この「リハビリ教室」の後である。お年寄りたちは畳コーナーのこたつの中に足を突っ込んで、ゆっくりおしゃべりしたり昼寝をしたりして、まるで誰かの家の離れのようだ。そう感じているらしい。

 そして先生方は、混迷する地方の活性化のためにどうすればいいのかと、熱い議論をする。「〇〇〇研究所を創ろう」という話まで出てくる。「どう思う?」と聞かれ、「あのね私はいったいいくつになるのかを考えてみて下さい」と答える。もうじき80歳に手が届きそうだというのに・・・何を言い出すのやら。

 「悠々」では特別なことは何一つやってこなかった。できなかったのもあるが(星空観望会、託児所、地域名産物販売等)、「ケア付き民宿」が今のところ一番のヒットメニューであろうか。それと「悠々食堂」。村に一番必要で、それにもかかわらずこれには介護保険も他の補助金もつかない、とあって評判を呼んでいる。

 なにも特別な事ではない。ただこの村のお年寄りにとって、とっさの困ったとき、これがあれば生きていけるというものである。

コメント
 夫と初めて悠々をお訪ねした時の印象をなつかしく思い出します。悠々は確かに山里の奥の方で、車で坂道を登りながら、この道で本当に悠々にたどり着けるのかしらと不安に思ったものです(笑)

 「時代の荒波に取り残されたお年寄り達と、身を寄せ合って、貧しいけれど幸せになれる暮らし方を実現したい」と本田さんが望んでいたその光景が、悠々に満ちていました。

 突然の私たちの訪問でしたのに、本田さんもお忙しかったでしょうに、丁寧に笑顔で悠々のことをお話くださり、お部屋までご案内していただきました。さらに入居者の方たちとご一緒にお茶とお菓子までいただいてーー。

 あの心地よい空間を思い出します。
  • 加藤充子
  • 2017/11/22 2:31 PM
加藤さん
 いつもいつも暖かなお言葉をかけていただき感謝です。少しだけ貴方のコメントを待っている私が居ます。
  • 本田玖美子
  • 2017/11/22 6:48 PM
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