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風の谷〜泰阜村   
    第11回総会を終えて〜理事長交代

 初冬の暖かな日差しの中に、組合員と村の来賓方をお迎えし第11回総会を開催した。

指定管理者の認定を村から受けた最初の総会とあって、新村長、村議会議長、教育長、住民福祉課長、係長、県中央会からも支部長代理のご出席を頂いた。今回は、1人の経理担当理事を失った組合の役員改選の時期とも重なり、本当に心機一転という内容になった。

 理事長の挨拶では、この10年間のすべてのデーターを整理し、列席者の前にその図表を資料として添付し、役場にも、従来の組合員にも、新しく加入された組合員さんにも、「高齢者協同企業組合泰阜」という民営の企業団体が、「金儲けではなく、村民ひとりひとりの幸せを願って、ただそれだけを願って苦闘した10年間」が数字とグラフで示された。それを、出席された来賓方も組合員も、食い入るように見て下さっていた。理事長からのメッセージは、この「悠々」が10年間も存続し得た事は、一重に村民の(組合員の)皆様の「悠々」を自分たちのものと感じて支え続けたボランティアのお陰である事それは10年間の実績を長野県最低賃金に換算すると2千万円を超えるものであった事、加えて泰阜村が苦しい財政の中から支え続けて下さったお陰に他ならないことを、心から感謝の言葉を尽くして伝えたことであった。 

 新村長のお祝辞では、「在宅福祉の村で『悠々』が試みた挑戦は貴重なものであった。開所当初先生から伺った理想を10年間貫き通した姿を見てきて、大変なご苦労があったがここまでやってこられたことに敬意を示したい。村としても今後可能な限り応援していきたい」と暖かで誠実なお人柄のあふれたお言葉を頂き、安堵のあまり気が緩んでめまいがしたほどであった。

 1人の組合員からの質問で、「この赤字続きの経営を10年間も継続した根拠と、経営改善のために今後どのように努力しようとしているのか」と問われた。

 理事長として最後にしなければならない総括を求められたと感じ、真摯に受け止めた。

まず、「何とかしてこの過疎の村々のお年寄りが、孤独の中で苦悶の最後を迎えさせたくはない」という理想だけは高くしかし・・・その経営能力のなさに、幾度も「組合解散」を思った事があった。しかしまず第一の理由として、現にお預かりしているお年寄りのお一人には子供がなく、夫に先立たれ要介護度が軽く施設にも入れない状態にあった。もう一組の老夫婦は、ご家族との関係が悪く実質的には帰る家がなかった事(その方も入居当初は要介護度が軽かった)、さらにはご家族が全員働いていて、94歳の転倒骨折後の年寄りを1人急坂な坂道に囲まれた家に残せないと判断された(介護認定未申請)等を置き去りにはできなかったことがある。

 ケアスタッフは最低限の常勤2名、食堂経営のために常勤賄い1名、宿直は2名の有償ボランティアさんに依頼、理事長は会計総務事務、視察来客の対応、緊急時の判断と送迎、賄い、ケア、すべて不足分を塞ぐべく無償で対処しながらやって来た。これ以上削る部分を考えられなかった。一方事業収入においては、開所当初は視察研修の費用として1人2千円を頂くことにしていたが、このお金は払えないと民生児童委員の方々、各地の議員団、社協の方々からの反発があり2千円が千円になり、挙句の果てに資料代は無料で写真集をプレゼントするというありさまになった。A県副知事の視察では、付き添いの方から「このような方に来ていただいたのに、視察代を請求されるのは心外です」と言われ、心折れて以来請求できなくなったことがあった事などを付け加えた。また当初8万円/月額だった入居費も組合員さん方からのボランティアが少なくなると、業者にお願いするしかなくそれらは経費となった。現在の利用料一日5千円でのケア付き三食付き、身の回りの家事付き、緊急時の病院通院介助無料等を背負っているのが現状である。さらに当初悠々ランチは千円であったが、高すぎるというご要望に600円に下げ、500円に下げたが、ご利用はあまり増えなかった。特に視察は、北欧ではランチ付きで1万円であったのを、ここでは「悠々ランチ」付きで2千円となっていたが、視察団は昼食をどこか他所で済ませ、その前後に無料のお茶を飲みながら「悠々」の視察を利用するという事態が続いているのが現状である。

 この10年間の努力は虚しく、心身ともに疲れ、心折れ自らの無力を極限まで悟って、理事長交代を願い出ている次第である。お許しいただきたいと思うとお応えした。

 これを聞いて、後の懇親会の場で、村会議長、住民福祉課長等が、「先生全力で応援するでな、頑張ってくれ」とのお言葉を頂いた。新しく加わった理事たちも、口々に「先生のこの無私の実践に心打たれた。及ばずながら力を尽くしたい」とのお言葉も頂けた。これからの5年間(私は82歳になるよ)これ以上の報いが、宝物があるだろうか。泣き虫ばあさんはやっぱり泣いている。  

 

コメント
所用で上京し、四日ほど留守にし、さきほど帰宅しました。このブログのタイトル、理事長交代、の文言にドキッとし、文章を読み進めた次第です。

 「この10年間の努力は虚しく、心身ともに疲れ、心折れ自らの無力を極限まで悟って、理事長交代を願い出ている次第である。お許しいただきたいと思うとお応えした。」 この言葉に、私は胸を突きさされました。これまでの本田さんのご苦労を思うと言葉もありません。

 過日、いろいろないきさつがありながら、本田さんとお会いでき、心からのおもてなしを受けたことをありがたいと思いつつ、大変なお疲れのなか、たいへんなご無理をさせてしまったことにただただ恐縮したことはいまも心に残っています。

 このブログの最後の言葉 『「先生のこの無私の実践に心打たれた。及ばずながら力を尽くしたい」とのお言葉も頂けた。これからの5年間(私は82歳になるよ)これ以上の報いが、宝物があるだろうか。泣き虫ばあさんはやっぱり泣いている』 に、私は安堵しています。

 私はいま、本田さんの笑顔を思い浮かべています。またいつか笑顔の本田さんとお会いしたいと心から願い、念じています。
 
  • 加藤充子
  • 2018/11/26 6:02 PM
加藤さん あなたのような方が居たから私は10年もの間頑張れた!貴方のような方の言葉に救われた!そのような一つ一つの言葉が、どん底にある人を救うことを知っています。命ある限り辞めないでとの声が頂けています。だから大丈夫だと思います。またお会いしたいです‼
  • 本田玖美子
  • 2018/11/27 6:29 AM
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