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風の谷〜泰阜村    
   〜研究者魂に火がついて〜

 6月中旬、大雨警報の出ている神戸にむけ、緑の森の中に笹百合が16本も咲いている我が山荘を後ろ髪を引かれる思いで出発した。憧れの神戸でしかも第56回日本リハビリテーション医学会学術集会の座長にとの招聘であった。医療ソーシャルワーカーであったが、医師団の学術集会に座長へと招聘されたのは28年間の学会員生活の中で初めてである。かつて中部圏F大学と、関西圏H大学の医学部リハビリテーション医学教室に研究生として9年間所属し、研究発表、学術論文を発表していた経緯があるものの、1人のソーシャルワーカーが医師団の主催する【社会復帰・復職・更生】セッションの座長の席に着いたのは、初めてであった。やっとリハビリテーション医療の分野において、ソーシャルワーカーが専門職種として受け入れられたのかという感慨がある。

 

 

 さて悠々では、この名誉あるお誘いを受けて、取り合えずセンター長の悠々365日勤務をどう調整するかの課題が勃発した。

理事会にて、センター長出張許可とその2日間の勤務体制の補充をどうするかの議題を出した。

(今後予想される理事・センター長365日出勤体制における体調不良の際の非常時代替勤務者確保の件)

現体制は、5月半ばから受け入れた常勤ケアスタッフ1名・4日/週(am9時〜pm6時/早朝ケア困難)、常勤賄いスタッフ1名(5日半/週am6時〜pm6時/但し昼休み休憩4時間)+非常勤ケアスタッフ2名(看護師スタッフam7時〜12時半・1回/週)+(介護ヘルパースタッフam7時〜pm4時・1回/週)のみである。

  これに対して理事会からの提案は以下の4点であった。

〕弉雜遑気瞭居者に対し、センター長出張中1泊2日のショートステイ導入し、留守中のケア負担を軽くする。これにかかる費用は、全額当組合にて負担する。

△海両魴錣髻⇒弉雜遑気Mさんのご家族に提示しショートステイ利用の許可を取る。

ご本人にも(脳梗塞再発による右片麻痺は残存するものの認知症はなく、意識は清明)この緊急事態を伝え、ショートステイ利用の快諾を得る(泰阜出身だがご本人は名古屋で人生の殆どを過ごし、泰阜住民との交流はない)。入居以来6年間地域の高齢者との交流機会が少なかった。

 一方勤務体制は、当日の朝ケアから夕ケア(am7時〜pm6時/含休憩3時間)までの丸一日を非常勤ケアスタッフが応援し、賄いスタッフも休みを返上して丸一日の勤務(朝6時〜夕6時/含休憩4時間)を応援してくれることになった。さらにショートステイへの送迎は、理事のお一人が快諾し、センター長となった本田を本来の研究者への場に送り出していただけることになった。

 これが決定し学会出席が可能となってから、本田の心に猛然と研究意欲が湧きだし、従来の中山間地域泰阜村の実態調査への追跡調査の学会発表に挑戦した。残る時間は数日(最後の3日間は昼夜睡眠時間無で驚異の研究時間を確保)、村長の許可を得(村長、副村長、福祉課長等との協議の結果)2007年調査時に調査協力を得られた住民世帯714世帯/1817人(82.77%)の帰趨(死亡,入所,転出,転入,出生)について住民台帳から調査した。

 その結果、2014年の追跡調査時には限界集落が5集落から10集落に増加し、消滅集落の発現が危惧されていたものの、12年後の今回の調査では消滅部落は存在しないことが明らかになった。それはギリギリのところで〇匐,燭舛親の住むふるさとへ介護のために帰ってくる実態と、大都会から子供たちの育児のために大自然の溢れる泰阜村へ転入する家族等が、好んで限界集落の空き家へ(村が買い取って住宅改修している)転入を希望しているからであった。さらには、そのような大自然に囲まれた自然の中で子供たちを教育することを目標に30年前に立ち上がったNPO法人グリーンウッド(通称だいだらぼっち)が時代の風を受け、その主要な事業の一つである【山賊キャンプ/3日間コース,1週間コース,1ヶ月コース,3ヶ月コース等】が盛況で、年間2千人ほどの参加者を選抜するほどになり、参加した子供たちが都会に戻りたがらないという(そうありなん・・・)経過もあり、リピーターの子供たちがやがては大学生になり泰阜にボランティアとして戻ってくる事例もある。さらに本年1年間で泰阜村への転入者が実に232人あり、転入者世帯の出生もあって、出生者数も44名/年あった。

これらの結果は、

 村の住宅政策:村営住宅の増設・木造平屋建て一戸建て家賃35千円/月等、

 児童政策:医療費自己負担分免除(中学校まで)、保育費免除、

 高齢者に対する医療政策:投薬分自己負担500円/月、

 

 村の先鋭的な政策効果と、大都会住民が大自然の中で生きることを希求する時代の風を得て、消滅部落の出現を止めている幸いな南信州過疎山村(かつて陸の孤島と揶揄されていた・・・今もか?)泰阜村が、静かなブームを巻き起こしていることを報告する幸いな機会を得たのであった。

 この機会を与えられた村役場の甚大なご配慮に心からの敬意と感謝をささげます。

 

 

 

コメント

本田さん、今回のブログ、うれしくて数回読みました。

 「1人のソーシャルワーカーが医師団の主催する【社会復帰・復職・更生】セッションの座長の席に着いたのは、初めてであった。やっとリハビリテーション医療の分野において、ソーシャルワーカーが専門職種として受け入れられたのかという感慨がある。」

 本田さん、すごいです!改めて本田さんのキャリア
に敬意を表します。


 神戸に行くにあたって、様々な準備と配慮が私にも想像でき、悠々のスタッフや理事会の方々のお一人お一人のお顔が目に浮かび、とても身近に感じられます。

 [学会出席が可能となってから、本田の心に猛然と研究意欲が湧きだし、従来の中山間地域泰阜村の実態調査への追跡調査の学会発表に挑戦した。残る時間は数日(最後の3日間は昼夜睡眠時間無で驚異の研究時間を確保)」

 もしかしたら、こんなさ中に出前映画のご準備をなさってくださったのではと思うと、今更ながら、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。さまざまなお心遣いを本当にありがとうございました。

 「1年間で泰阜村への転入者が実に232人あり、転入者世帯の出生もあって、出生者数も44名/年あった。

これらの結果は、

 村の住宅政策:村営住宅の増設・木造平屋建て一戸建て家賃35千円/月等、

 児童政策:医療費自己負担分免除(中学校まで)、保育費免除、

 高齢者に対する医療政策:投薬分自己負担500円/月、」

 泰阜村の取り組みに、改めて驚いています。素晴らしい報告ができて、本当によかったですね!
  • 加藤充子
  • 2019/06/18 6:32 PM
加藤さん コメント有難うございます。貴方が必ず読んでくださると確信してブログを掲載致しました。実は出前映画上映の数日後には河崎監督から丁重な直筆のお手紙と原稿のコピーを頂いておりましたが、・・・つまり調査データーの読み取りに集中しておりましたので、心で大感激しながらも別の作業に掛かれませんでした。くれぐれもお詫びを申していたとお伝えいただければ嬉しいです。自宅に帰りついてから2日目の今日は、反動で一日中夢遊病者のようにケアと賄い作業をしておりました。食欲が全くなく、皆に心配かけました。でもその内にゆっくりと回復すると思います。ではまた・・・今晩はこれから寝ますね。
  • 本田玖美子
  • 2019/06/18 8:25 PM

本田さん、どうぞゆっくり休養なさってくださいね。

 本日太極拳で河崎ご夫妻とお会いしましたので、本田さんの神戸行きの一件をかいつまんでお伝えしました。

 太極拳から帰宅後、本田さんのお返事を読み、改めて河崎監督に連絡を取り、本田さんが監督にお返事できなかった事情と、本田さんのお気持ちをお伝えしました。
  • 加藤充子
  • 2019/06/19 2:44 PM
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