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風の谷〜泰阜村     
    猛威なるかなインフルエンザ!

 所によれば何十年来、我が泰阜村でも5年ぶりぐらいの大寒波による積雪である。雪かきしても雪かきしても振り返れば真っ白に積り、咳と鼻水を垂らしながらの雪かきが祟って、大風邪を引き込んだらしい・・・。夜中にかけて熱は上がり翌朝39.3度まで上がったところで病院の休日救急に連れていかれた。インフルエンザA型だという。予防接種したんだけどな〜・・・.「流行ってますからね〜、吸入をしてから自宅でうがいと内服薬(PL顆粒+ミヤBM+プリンペラン+カロナール錠)を飲んで安静にしてください。お大事に」、「あッ、水が飲めないんでしたね。点滴していきましょうか」、「お願いします!」と助けられた。ところが翌日は39.9度に熱は上がるばかり.体温が40度に手が届くところまで行ったのは生まれて初めて・・・と言うことは、年かぁ〜.

 寄りによって先日前の席で久しぶりにおしゃべりを楽しんだ91歳M翁が、38.7度ということで急遽受診していたのである。「あ〜申し訳ない。悠々の黴菌の主は我かな・・・そうに違いない.申し訳ない」との思いで点滴を受けていたのだが、翌日にはインフルエンザの治療薬がよく効いて、36度代に落ち着き、食事も食べているとのことで、ほっとする。

 今年の年始が明けてすぐに、理事の一人である我が夫もインフルエンザB型に罹患、急遽単身赴任中の大宮に出かけて看病に精を出したばかりだったが、AとBでは型が違うので夫からうつったのではなさそうだし、今年は泰阜中学校も学級閉鎖がでたということで、泰阜じゅうおちおち出かけることもできないでいる。

 その中を明日、神奈川県逗子から80歳の翁(翁はちょっと若すぎたかな?)が、永住入居目的で見学に来られる。

大丈夫かな、お風邪をうつさない様に細心の注意を払い、祈るしかない。こちらの状況をお伝えしたが、是非にと言うことである。有難いことである。

風の谷〜泰阜村   
   海のない南信州にトロ箱満杯の鯛の贈り物!

 昨日、突然にトロ箱満杯の黒鯛が5尾、巨大な出世魚の鱸が1尾、氷詰めの宅急便で届いた。開けてびっくり仰天とはこのことか、スタッフも入居者もお魚屋さんに行ったことがない。最近はスーパーでも切り身しか目にしたことがないので、その一尾の美しい姿を目にしたことがなかった。トロ箱を皆で覗きながら感動し大騒ぎとなった。

 一昨日友人から電話で「瀬戸内海の朝採りの魚が手に入ったんだけど、氷詰めにしてあるからそのままそちらに送っていいかな?」と言う。「いいもなにも、そんな贈り物聞いたこともない。南信州では魚の贈り物なんて見たことも聞いたこともないんだよ。嬉しい!送ってください」と懇願した。ああ〜神様・仏様どんなにスタッフと入居者たちが喜ぶかと思い、それからというもの「瀬戸内海の朝採りのお魚がね、明日トロ箱で届くんだって」「キャー嬉しい、早く見たい、瀬戸内海のお魚!」とスタッフは大喜び。

 早速悠々の料理人さんが「最近使ってないので刺身包丁が切れん・・」とつぶやきながら、その日の夕食に黒鯛の刺身を皆で堪能した。92歳のおじいちゃんも88歳のおばあちゃんも「ホンにわしは生きてる間に鯛の刺身を口にしたことはなかった。こんな日が来るなんて思いもしなかった。有難い、ホンに有難い」と言う。あまりに大量なので、スタッフも役員さんもおすそ分けを頂いてニコニコして家に帰った。「久しぶりにかあちゃんと食べるかな・・・」

 その喜ぶさまを見て、山郷の民たちは鯛の刺身(高級魚)など日頃口にはしないのだとつくづく思ったことであった。

悠々には様々なプレゼントが「ほんの気持ち」と言いながら届けられる。最近は、ミカン、柿、リンゴ、ゆず、干し柿、鹿肉、イノシシ肉、刺身こんにゃく、蜂の子の佃煮、源助菜の漬物、その他名も知らぬお野菜の数々、それから高級焼肉も頂いた。本当はこんな贅沢ないしょがよかったかな〜。

 届けられるそのお気持ち、愛に包まれてスタッフも入居者もこの世の幸せを頂いている。

「わしはこんな幸せ今まで貰ったことがないに、有難うございます。」と口々に言うお年寄りと働くスタッフの笑顔届けます。

 

 皆さま、本当に有難うございました。今年もお世話になりました。来る年が皆様に幸せが訪れますように祈ります。

                                                     合掌

 

 

風の谷〜泰阜村   
  90代男性たちの生きる意味 考

 昨日は恒例の「大祓い」の式が執り行われ、最近入居なさった90代のご夫婦が感動しておられた。

「大祓い」は、山郷に住む民たちが山の神々にこの1年の罪咎を払い、来る年の幸いを祈る伝統行事である。神主様の祝詞に頭を下げ玉ぐしを捧げて、あらためて自分たちが山の恵みを受けていたこと、災害や危険に満ちた山での生活に山の神々の守りを祈ることを通して、山とそこに住む民の生活が決して安定したものでないことを自覚する祭りでもある。

 

 

 式の後、入居者や理事とスタッフ、近隣のお年寄り達との「直会(なおらい)」で御下がりのお神酒やお供物の鯛を分かち合いながら、顔見知りの人々との談笑を楽しんだ。

 「久しぶりに楽しんだ。これからも呼んでください」と、送迎車の中で近隣のお年寄りたちが赤い顔をして口々に言う。その笑顔を見ながら、介護保険サービスにこの生活に密着した年中行事の導入はあったかな〜・・・と思う。会費2千円、もちろん大赤字である。実はこの予算について、理事長と会計責任者の役員とのあいだに丁々発止の議論があった。しかしお金には代えられない宝があるのだ。「お年寄りの心からの笑顔を見たい」と懇願し、説得し、乗り切った。

入居者たちはみな80代後半から90代である。ご近所の顔見知りたちとのこんなに楽しい会に、90代の男性入居者たちがあたりまえのように一杯飲みながら団らんして、人としての交わりを取り戻すなんて、近年林立する高齢者施設にあったかな〜・・・と思いながら、暖かな和みの中で私も久しぶりに幸せを味わった。

 その夜一人の92歳の入居者に呼ばれた。「もう死にたいと思っていた。自分は生きすぎたと思っていた。しかし今日のような楽しい行事に参加して、もう少しこの世を楽しんでもいいかなと思えた。明日からはご飯をよく食べて、散歩してお迎えが来るまで生きてみようと思う。先生よろしくお願いします。」92歳男性、体重36Kg栄養失調の様々な兆候が出ていた。この体で96歳の重度認知症の妻の面倒を看ていた。コンビニでおかゆを買って食べていた。時々倒れて近医で点滴を打って生き延びてきたという。

 人はいろいろな事情を抱えて生きている。たとえ90代になっても人間らしい交わりが生きる勇気を与えるのだと改めて思ったことであった。

 

 

風の谷〜泰阜村           
新しい仲間たちが加わって

 11月から新しいお仲間が加わって、久しぶりに悠々に賑やかな声が戻ってきた。現在入居者は7人、スタッフ4人、デイサロン利用者(平日の9時〜4時頃まで)1人に、時々悠々食堂を利用する入居者の家族、近隣のお年寄り達、月に何組かの視察見学者が加わって、食事やお茶の時間には和やかな雰囲気の中で笑い声が絶えない。暖炉に火が入って、その前で新聞を読むご夫婦は(夫92歳、妻96歳)最近お入りになられた方たちである。9月に入居されたご夫婦は(夫90歳、妻88歳)、高専賃と呼ばれる村のアパートから移ってきた。この方たちが悠々に入居されて最初の日に口にしたことは「やっとゆっくり眠った。あちらでは夜当直がいないので、夜不安になる認知症の方々が(どうも複数いるらしい)部屋に入ってきて騒ぐので、眠れなかった。」というのである。

 悠々にも重い認知症の方がいないわけではないが、当直の方が対応してくださるので昼夜逆転の方がロビーに出てきても、そっと自室に誘導してくださる。夜中にトイレに行こうとして転倒するかたが時にいるが(ドーンと音がするので駆けつけて覗いて下さる)、お怪我がなければ、抱き起してベットに寝かせてくださる。糞尿まみれになっていた場合や異常が起こっていた場合には、ただちに理事長ならびに看護師やヘルパーに緊急連絡が入り、必ず5分以内に駆け付け病院に緊急搬送するかどうかを判断し、処置する。

 最低限のスタッフで、しかし最高の安心を与えている・・・と入居されたお年寄りが口にすることである。

特別なことをしているわけではない。必要なことをただちに解決するが、いつもすべてのスタッフが待機しているわけではない。「これで月額15万5千円はあまりにも安すぎる。病院への付き添い介助(往復の送迎付き)もマルメ(生活上のすべての介助込)なので、有難い。ついでに買い物も付き添い付きでいつでも欲しいものが手に入るなんて・・・申し訳ない、有難い」と言うのだ。

 入居者はこのようなことを体験すると1週間ぐらいで安心しきった穏やかな顔になる。高専賃から移ってこられたご夫婦を、村役場の方たちが目の当たりにして「たった1週間でこうも変わるのか・・・」と言われたそうである。

 私たちは、たとえ年を取られていてご不自由をあれこれ抱えておられていても、人間として大切に思っているだけのことである。

現在入居中の癌の治療中のかた⁽77歳)を抱えている。2週ごとの通院の付き添いは朝8時から帰りは午後4時頃になる。一緒にご家族を精神的に支えながらともに闘病に心を合わせる。どんなことをしても治って笑顔を取り戻したい。

 夫婦で家に閉じこもっているよりもと、悠々のゆったりとした普通の生活の(仲間の)中で闘病への支援をしている。主治医の指示を仰ぎながら三食を栄養豊かな食事にと工夫を怠らない。こうやって悠々のスタッフも精神的にサポートしながら、共に戦う家族だと思っていただけたら嬉しい。

 

風の谷〜泰阜村   
   山の民たちの重い枷について

 冬支度が始まった。村役の一つ道路愛護である。前日の雨で重くなった濡れ落ち葉を、すべての村道と側溝から掻き出して山に返す作業であった。今年は我が限界集落(9戸)のうち、2戸の戸主が重い障害と難治性の病を負ったため、力仕事をする男手を失った。その上今回は大事な所用でもう一戸がご夫婦で出かけられるということで、男手が3人も欠け、代わりに出てきた女衆が集まって皆が顔を見合わせた。急坂な山道を走る村道いっぱいに降り積もった落ち葉は、膝上までの深さの側溝に詰まり、いつもの軽愚痴を叩くものは誰もいず黙々と作業を続けた。みんな知っている。この落ち葉を撫でるように掃き清めておかなければ、雪が来て道路の落ち葉の上に降り積もったとき、落ち葉とともに急坂な坂道を谷底まで滑り落ちてしまうことを。

 しかしそれを知っている1戸の方は、事前にご夫婦で随分たくさんの範囲を掃き清めていたのだが、何が何が、二、三日風が吹き雨が降って、すっかりもとに戻っていたのだったが、その気持ちを汲んで誰も何一つ文句を言うものはいない。

 

 

 今回は村からも応援があって、がけ崩れの岩を重機で片付けてあり、女手で片付ける重労働がなくて皆でホット吐息をついた。

振り返れば10年前はみな若かったな〜とつくづく思う。一山をぐるりと回る村道+県道+山中深く走っている井水+神社+大峰山公園(+参道)一体何キロあるのだろうか。腰をかがめ湿った落ち葉を側溝からすべて掻き出して、箕(み・穀類をあおって殻・塵などを分け取り除く農具.竹・藤・桜などの皮を編んで作る)に入れて中腰で山に返すこの作業は、人手もなくお金もない貧しい村の村役という名の税金である。この緑豊かな自然に恵まれた美しい国・日本の7割を占める山々は、そこに住む今は年老いた村人たちの重労働によって守られていることを一体何人の国民が知っているのだろうか.村にいる限り死ぬまで続く重い枷を嫌がって若者たちが村から出ていくというが、都会でお金を払って筋力トレーニングやジョギングを楽しんでいる人たちに届いているのだろうか。あなたたちの吸っている酸素が、この山々の緑から届けられていることを!この度聞こえてくる環境税という増税から、私たち山の民には除外してもらいたい!!

 安倍さん.お願いがあります.もっともっと自分の国民の苦しみについて深い理解と愛情を注いでください。私たちは今あたりまえのように村を守っていますが、年老いて(現在80代が3割、70代4割、60代2割)年寄りが居なくなってしまったら、日本の国から豊かな緑はおそらく無くなってしまうのでしょうから。


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