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風の谷〜泰阜村   
  悠々の見える風景

夏至
 埼玉県越谷からやってきた移住希望者Mさんご夫婦が,悠々の風景を変えつつある.
いつの間にか枯れ草ぼうぼうになってしまった玄関入り口のプランター,到着した次の日には すっかり枯れ草が抜かれて,
マリーゴールドの可愛らしい苗が植わっていた.
 気がつくと玄関脇に繁茂していた雑草もすっかり抜かれて,そこにもマリーゴールドの苗が植えられていた.
次の日には悠々のまわりの石垣の縁にも,マリーゴールドの可愛らしい苗が並んでいた.
 全部で700本.

この夏のはじめから秋口まで悠々のまわりを,黄色のマリーゴールドの花が咲き乱れるのが見える.
 無口でシャイな専務理事のMさんが,自分の畑で種から育てた大切な苗を提供してくれたのだ.
すべて誰に頼まれた訳でもないのに,仲間たちが 暖かな優しい愛で,生まれたばかりの悠々を育んでいる.
 なぜか 悠々に集まってくる仲間たちには笑顔が多い
 「家にいるよりホットする」という.
 
 人のためにと働いていることが,こんなにも自分を暖かく元気付けると 気がつき始めている.
 
 人を愛し愛される場が 悠々に生まれ始めているような気がする. 
 
 

風の谷〜泰阜村   
   心が一つになれば奇跡が起こる

6月14日晴
 「地域交流センター悠々」がオープンして1ヶ月がたった.
公開した交流事業9つの内,「学童保育事業」を除く8つの事業がスタートした理事長兼無給の専従職員は,1ヶ月の過酷な勤務にもへこたれず元気!総桧作りの「悠々」の魅力で、多くの参加者をお迎えした.
 1ヶ月の転地療養ご利用のYさん71歳は,「ここは私の第2の故郷になった」という.
「1泊お泊り体験」を利用した泰阜村田本地区の組合員仲間は「今まで同じ村にいてもこんなに親しくなる機会はなかった.こうやって気の済むまでゆっくり飲んだりしゃべったりできて本当によかった.これから毎月みんなで泊まろう」という事になった.
 自分の親や夫を送り出した後、たまに帰る子供たちを当てにせず,地縁の大切さを互いに学んだ1泊2日の集まりだった.
6月14日 日曜日には,組合員の男衆が声掛け合って,この冬に備えた薪ストーブのための木材を,山から切り出す大作業を一日がかりで行った.もっとも厳しい山仕事を、体中に痛みや故障を抱えた70代80代のお年寄りたちが行った.
   汗まみれになりながら「交流センター悠々」の前庭に積み上げた材木の山を見あげながら、一人のお年寄りがつぶやいた.
 「心が一つになればこういう奇跡が起こるんだな」
 「不思議に今日は足が痛まなかったよ」
  有難さに言葉を失って庭に詰まれた材木の山を見上げた.
天が本気になってわれらの「悠々」を守っておられると感じた.有難うございます.
 この大切な仲間の血と汗を,私は死ぬまで忘れない。
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風の谷〜泰阜村   
   初めての当直当番・顛末記

泰阜の里は今まさに「猫の手も借りたい」農繁期、
 我が理事たちは、60代後半から70代前半の農家の大黒柱.その上、村の役場のボランティアの役員を兼ねている.
その忙しさは,都会の大手企業トップ営業マンとでも引けをとらない.さてその彼らが「地域交流センター悠々」の当直をどうするかで混乱した.
N理事「〇〇〇,たまには女房と一緒に泊まらんかね」
M理事「ばか言え,おれとなんか泊まるか」

N理事「う〜ん.寝るだけなら来てもできん事ないが・・・」
M理事「お客は女性だろう,知らん男がひとり泊まってだいじょうぶかよ」

N理事「やっぱり、女房連れてきて一緒に泊まらんといかんだに」
M理事「あれだけ反対してる女房がなんというか・・・・」
N理事「組合の女性群に声かけて泊まってもらうか」
M理事「まず役員が範を示して,それからだに頼むのは」
N理事「う〜ん.〇〇〇おまえ,俺と一緒に泊まるか」
M理事「うん.いいよ」
N理事「じゃあ〇〇日に俺たち二人で泊まるわ」
理事長「すみませんが,お二人の分担ということで,もう一日お願いしてよろしいでしょうか」
N理事・M理事「・・・・・」
N理事「じゃあ,おれは〇〇日.女房がなんと言うか・・・」
M理事「おい,飯はどうするんだ朝飯は.その人が勝手に起きて自分で作って食べるんじゃなかったのか」
理事長「宿泊のお客様は療養目的の利用なのでお食事はこちらで用意します。
 1ヶ月8万6千円の中に含まれていますので,基本的にはこちらで何とかしなければいけないんです」
N理事「う〜ん.そういうことか」
M理事「メニューがいるにメニューが.わしらは作ったことないだに料理なんて,納豆に海苔に玉子に・・・それしか思いつかん」
N理事「大体から電磁調理器なんて触ったことないから使えんに.ここは魚焼くグリルもないで」
M理事「そりゃ大変なことだで」
理事長「七輪買いましょうか.炭を熾してそれで魚を焼くというのはどうでしょうか」
N理事「炭なんて熾すの大変だに.こりゃあえらいことだ.来期は役員のなり手はいんな!」

こうして悠々最初の理事会は、延々夜中の11時過ぎまで続き、前途多難が明確になった。
 貧しい寒村の乏しい人材を このむらでは公的にも使いつぶしている。
この私のしようとしていることも 同じことなのだろうか。
私が倒れた後は、有料の老人ホーム化するとのうわさが頭をよぎる。
 年金2万円3万円で,膝や腰の痛みを抱えながら、倒れたときの介護者不在の不安を抱えて生きているお年寄りの姿に、
目をつぶれば 楽になる。私の福祉のプロとしての良心を両手に載せて深呼吸する 
 
小泉純一郎総理
 聞こえていますでしょうか
 泰阜の 貧しい年寄りのうめき声 声 声・・・・
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風の谷〜泰阜村   
  第1回視察研修《愛知県豊根村社協》のみなさまと

地域交流センター悠々がオープンして2週間
 茶碗もお皿もろくに揃ってはいないリビングで、第1回の視察研修をお受けした。
この日の総勢は18人。愛知県豊根村社協の皆さまは6人、私たち泰阜村ボランティアが12人(内1名が認知症)。
 その日は悠々の交流事業NO.8 【鍼・指圧・マッサージ治療院】の日で、10時から順番に治療を受ける人、「泰阜・五平餅定食」に挑戦している人と全員なれない台所で奮闘した。
 そこにあるのは、お客様をお迎えする大家族の協同作業があったと思う。
この作業を仕切っているのは80代のお年寄りたち、8時半から2時間大奮闘していたおばあ様たちが、10時半には疲れ果て
 リビングの中央にある掘りごたつでお茶をはじめる。
付き添いのおじい様たちがそれを覗きながら、あれこれ講釈を述べる。
 それまでお客様をしていた豊根村社協のベテランスタッフが、たちどころにきびきびと動き始め、その続きを仕上げてお昼となった。
リビング中央の大テーブルは定員20席。
 テーブルを囲んだこの日の大家族は、手作りの昼食に舌鼓を打った.笑顔とおしゃべり、楽しい団欒が私たちみんなを幸せにした。
総桧作りの大屋根の下で過ごした一日は、楽しかったでしょうか?
 愛知県豊根村も山々に囲まれた小さな村、泰阜村の悩みと同じ悩みを抱えているという。
一人ひとりが手を取り合って支えあえれば今よりずっと幸せになれる。
 一つ一つの小さな村村が手を取り合って共に響き会えれば、きっと今よりずっと幸せを作り出せると、
 信じられるそんな気がした一日でした。
私たちこそさわやかな優しさをいただきました。
 有難うございました。これからも どうぞよろしく。

    泰阜村  地域交流センター悠々 本田玖美子

風の谷〜泰阜村   
   「地域交流センター悠々」オープン

2009年5月9日 泰阜村に日本発の高齢者による 高齢者のための共同住宅と地域交流センターがオープンした。
 開所式には、80名近くの会員と泰阜村村民がお祝いに駆けつけてくださった。
その日は快晴で、泰阜村は浅黄色の新緑の山々に囲まれていた。
1年で泰阜村がもっとも美しいその季節に、総桧つくりの平屋建ての家が立ち上がった。
この地方の棟梁が、腕に撚りをかけて作られたと伺った。

 

 もうこの日本で、このようにみごとな日本家屋はできないだろうと言われていたと伺った。
棟梁たちは、自分たちの代で、日本の伝統的な手作りの家作りは終わるだろうと思うと伺った。
それを聞いて、この泰阜村の地域交流センター悠々は、「日本の宝物なのだ」と感じ、この建物に恥じないような交流を
この地に、この建物の中で実現しようと誓った。
 スウェーデンから、世界初の高齢者協同組合創立者に参列していただいた。
かの地では、創立10年目で、大手介護サービスの会社に入札で負けて解散したと伺った。
私たちは何ができるか、命がけで捜し求めていかなければならないのだと、心に誓った。
 開所式から1週間が過ぎ、泰阜村では何事もなかったかのように一日一日と日が長くなり、ゆっくりゆっくりと時が過ぎている。
真新しい「悠々」も、何事もなかったかのように当たり前のような顔をして、泰阜村になじんでいこうとしている。
南信州の寒村の 当たり前の生活に、「悠々」もなじんでいっているような気がする。


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