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風の谷〜泰阜村  
つるべ落としの日暮れに

泰阜の秋の夕日があたり一面の空と雲を 真っ赤に染めて、谷を挟んだ対岸の幾重にも重なる暗い山陰に ストンと落ちる。
 大自然の営みの 厳粛な一瞬にことばを失う子犬と私。
 泰阜村に夫が身を落ち着け、私が過去の全ての仕事を引き払って 本当の泰阜村の生活が始まった。
 取り入れがすっかり終わった山里は、なぜか シンと静まり返っている。だれも拾うう事のない山胡桃をひろいながら、今宵の夕食は五平餅でも焼こうか と思う。

風の谷〜泰阜村   
山里への訪問者たちのこと

 泰阜村は、介護保険が始まる10年以上も前から在宅福祉に力を入れていた村で知られている。
 村には毎年のようにいろんな大学の調査や、TVの取材や新聞の取材が村を訪れていて、「調査にご協力を」というと、「また調査か、一体同じことを何回聞いたら気が済むのかね」と言われる。
 しかし今回の我々の調査は、今までとは恐らくその規模や調査の中身が桁外れに違っていたらしく、調査用紙が配布されてその中身を目にしたとたん、「なんでこんな調査をやるんだ!調査の目的は何だ!」という村民からの激しい反応が役場に寄せられ、8月末の2〜3日は、役場職員がその対応に疲労困憊したという事態が起こった。
 とりわけ暑かった平成19年の泰阜村の夏、泰阜村に何かが起こった!
 さる8月18日の調査員研修会に始まり、8月27日から9月8日までの訪問調査期間の間、愛知県東海市、長野市、群馬県高崎市の大学、専門学校から、総勢40名ちかくの学生と教員が、聞き取り調査のため、泰阜村全村民の一軒一軒のお宅を訪問した。
 全国でも初めての試み・・・であろうと思われる、「泰阜村生活満足度調査」の訪問聞き取り調査である。
 これは全村民(0歳〜5歳を除く)から、それぞれの世代ごとに、泰阜村の暮らしの中で実際に感じている要望やご意見を伺うというものである。
 この調査には、泰阜村にしかできないであろうという「助っ人」のご協力があった。これが他のどこの自治体でも実現不可能ではないかと思われるできごとである。その一つは、泰阜村始まって以来という猛暑の中を、村民の有志のお年寄りたちが自分たちの車を走らせて、村中の一軒一軒のお宅に、「よろしく頼む」という一声とともに、学生たちを送り届けるという大事業を担ってくれたのである。
 その上にこれがまたまた予算がないので日当は殆ど無償である!
村人は、顔見知りの村民が連れてきた若い学生調査員に心を開くのに、あまり時間を必要としなかった。
 学生たちは、山ほどの新鮮な野菜、甘いお茶菓子等を抱えて戻ってきた。最後には地酒を2本抱えて帰ってきた学生も現れる始末、一体どのような訪問調査が展開されたことであろうか。
 学生たちは「泰阜村のお年寄りや子供たちや、働く世代の人たちが、みんな真剣に生きていること、村の生活に満足していることが素晴らしい」と感動していた。
 そしてみんな、泰阜村とそこに住む村人のことが大好きになった。
「自分の第二のふるさとです。また帰って来たいです。」といってくれた。
 学生たちは調査の後の慰労会の席上、このような勉強の機会を与えてくれた村と村長に感謝し、村長を胴上げした!

 

 9月8日に調査本部が撤収され学生たちが去ると、泰阜村の暑い夏が過ぎ去り本格的な秋がやってきた。
泰阜の山里に赤とんぼが舞い、秋の虫たちの大合奏が響いている。
 ススキの穂波が揺れ、萩、おみなえし、桔梗、撫子、水引などの秋の花が咲き乱れている。
  稲刈りが終われば、秋祭りはもうすぐそこだ。
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風の谷〜泰阜村   
   秋の気配

 旧盆を挟んで泰阜村に記録的な猛暑が続いた.隣村の南信濃町では40.2度を記録した.全く何ということだ.
これまで泰阜村のお年寄りの住まいには クーラーなどない暮らしがあたり前だった.泰阜村が30度を超える日は年に1〜2回だったと言う.
 数年前までは、夜窓を閉めて寝ないと、明け方肌寒さで目が覚めたものだった.昨日から今日の昼まで降り続いた雨で そんな泰阜村に一斉に秋がやってきた.
 すすきの穂が風になびき 萩の花がこぼれんばかり 山陰の道端の緑の合間に桔梗、女郎花がのぞいている.見上げれば、空いっぱいにいわし雲のひろがり 夕暮れの谷に カナカナ カナと蜩の声、今はまだ ほんのうす赤色の赤とんぼの小さな群が、山の棚田の上に舞い始めた.

 泰阜村に やっと秋がやってきた.日本のふるさとの原風景が帰ってきた.

  私は 大きな安堵のため息を一つ ついた.

 

 

 

 

 

風の谷〜泰阜村   
  沖縄の8月 沖縄の戦後について

 亜熱帯の島・沖縄は、伝統的な祭り 『エイサー踊り』で本格的な夏色に染まるような気がする。このイベントに参加すると見受けられる若者たちの嬌声で沖縄行きの機内はまことに賑やかだった。

 例年であれば、紺碧の空とコバルトブルーの海が私たちを迎えてくれたはずが、大型台風の襲来で、灰色の雲と暗い色をした海が目の前に広がっていて、少し不思議な感じがした。
 私たちの2回目になる沖縄・ガマ慰霊の旅は、台風の余波で例年よりもいっそう蒸し暑さを増し、人柱の形をしたやぶ蚊の大群や、ハブとの遭遇の危険をはらみながら無事に終わった。
 8月6日と8月9日の「ヒロシマ・ナガサキ」の平和記念行事が新聞の見出しに踊る同じ日本で、沖縄における地上戦の凄まじさについて語られることの小ささに、何か背筋の寒くなるような思いを 今年も体験した。
 「ヒロシマ・ナガサキ」の被爆者たちの苦しみと、沖縄の二十数万と言われる戦死傷者たちの、何がこの違いを生んでいるのか、
残されたガマの漆黒の闇の中で、目には見えぬが 確かにその気配を感じる魂たちに手を合わせながら、必死に自問した。
 「無知は罪です」は瀬戸内寂照さんの言葉。
 私は、「6月23日」という日が、沖縄守備軍司令官の自決で、組織的戦闘終結の日として 沖縄中のお年寄りが、『魂魄の塔』 の前に集い、庭に咲く花を携え それぞれの思いを抱え 静かに祈る日であることを 知らなかった。
 『魂魄の塔』こそ、沖縄の非戦闘員であった こどもやお年寄りや 幼子を抱えた母たちが、旧日本軍によってガマを追い出され、隠れようもなく逃げ惑って殺された挙句、戦後 葬ることを禁じられ、野原に転がっているそれらの遺骨を ブルドーザーで 掻き散らされようとしたとき、勇気ある住民たちによって 集められ、塚として祭られていることを 知らなかった。
 有名な『ひめゆりの塔』の すぐ近くにあって、観光地とは程遠い 『魂魄の塔』の美しさよ!
 戦後日本の繁栄が、これらの沖縄の人々の犠牲の上にあることを 私は 知らなかった。
今なお、米国統治27年間を 日本人とは認めてもらえず、年金は27年間の空白を保証しない。
 こんなことが許されていいのか!

 私は泣きながら、心のそこから 沖縄の全ての人々に お詫びしたい!
私がこれまで あなた方の苦しみについて 何一つ知らなかったことを 許してください!
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風の谷〜泰阜村
  この地球という星に生まれた 子供たちの未来について

人は皆 この世という名の地獄に生まれてくる のかもしれない.


 TVドキュメンタリー「世界がもし百人の村だったら」に登場してくるのは,

  すべて,この地球という星に生れ落ちた子供たちの姿である.
 その一人ひとりの子供たちは,「この親を選んで生まれてきた」という言葉を聞いたことがある。
  愛されて幸せな人生を歩み始めた子供たちのことである.
 親たちが,戦争や,テロや,事故や,病気や,失業やリストラのために,自分の子供たちを守れない国がある。
  親たちが,自分の子供の臓器を売り払ったり, 奴隷や児童売春の標的のように 売り払っている・・・・
 それだけでなく、親たちによる暴力や育児放棄で殺される子供たちが, 後を絶たない 国がある.
 そして,この子供たちを食い物にして, ぬくぬくと栄耀栄華を誇っている 国がある.
 「しあわせには無数の顔がある,しかし不幸はみんな同じ顔をしている」という.
  ここに登場している子供たちに共通している不幸は「貧しいこと,教育を受けられないこと」である.
  この地球という星に生まれたすべての子供たちの幸せについて「地球村に住むすべての大人には 責任がある」 と思う.
    東京の吉祥寺に住む 一人のカトリックの老神父が,もう何十年もの間、たくさんのカンボジアの子供たちを養子にして
 日本の学校に通わせ,高校を卒業するまで養っていたことがある.
   今もなお、そのG神父は,1年間の講演料や結婚式やお葬式の司式で得た謝礼の全てを貯め、毎年カンボジアに学校を建てている.
 カンボジアの村々に 毎年1校建てるのに 500万円のお金が必要だという.
自分のためには,居候している教会で出されるものを食べさせてもらい, 着るものもバザーで余ったもの, 頂き物で十分という.
 G神父に育てられた カンボジアの子供たち全てが,  感謝の念を表してくれる訳でもないという.子供たちの中には,青年期になると反抗して家を飛び出し,帰ってこない子もいた.
 ちょっぴり寂しそうに「男手一つで育てているので・・・」と口ごもる.
 それでもG神父は この任務を決して止めなかった.
今もなお この地球村に住む子供たちの80万人が少年兵として 銃を手に戦っている.
  500万人が 安心して暮らす家がないホームレスである.

 一体どうしたら この水の惑星「地球」という星を 地獄のような苦しみから救い出せるのか
  一人ひとりの大人が 考える時が到来している と感じる.
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